隣接地からの越境物がある場合

隣接地からの越境物がある場合

 

隣接地の建物やその基礎、樹木等が対象地(自分の土地)に越境していたり、 反対に対象地側に隣接地の建物等が越境している場合があります。


このような場合の土地の売買にあたっては、契約締結に先立って越境物を撤去したり、あるいはそれが難しい場合には、隣接者との間に覚書を取り交わすことによって取引を行うことが通常です。


このような措置を取ることにより、不動産の価格自体に影響を与えるケースは少ないのですが、なかにはその解決が困難なことから減価要因としてとらえざるを得ないこともあります。

解決事例

越境問題が発生した際に、覚書を活用することは、スムーズな解決に向けて重要な手段となります。以下は、覚書を使用して解決された具体的な事例をご紹介します。

事例1

ある家庭では、隣接地からの樹木が自分の庭に越境しており、これが庭の景観を損なっていました。問題を解決するために、隣接者との対話を試みましたが、解決策を見つけることが難しい状況でした。

そこで、両者が合意した内容を盛り込んだ覚書を作成し、それを基に樹木の剪定とメンテナンスを行うことで問題を解決しました。

覚書には、剪定の費用負担や作業の時期などが明記されており、両者の納得が得られる形でトラブルを解消しました。

事例2

ある土地所有者が、自分の土地に建てられた塀が隣接地に越境していることを発見しました。この塀は、隣接地の所有者が無断で建設したものであり、問題解決が急務でした。

両者は直接の対話を試みましたが、解決策を見つけることが難しい状況でした。そこで、法的な手続きによって解決を図ることを決定しました。

両者は法的な助言を得ながら、土地の所有権や境界の確定に関する手続きを進めました。最終的に、裁判所の判決によって塀の撤去が命じられ、問題は解決しました。

事例3

ある不動産会社が、売買契約を進めていた土地において、隣接地から木の枝が越境していることを発見しました。この木の枝が売買対象の土地に影響を与え、新しい所有者が困惑していました。

不動産会社はまず、現地調査を行い、越境している木の状況を把握しました。次に、隣接地の所有者との間で直接対話を試みましたが、合意に至りませんでした。

そこで、不動産会社は法的なアドバイスを受けながら、売買契約の条件に木の剪定を義務付けることを提案しました。

隣接地の所有者も、法的なトラブルを避けるためにこれに同意し、木の剪定を行い、問題は解決しました。売買契約が円滑に進行し、新しい所有者は安心して土地を取得することができました。

越境物が解消しない場合には…

最悪の場合ですが、隣地の方とまったく連絡が取れない場合などがあります。この場合は、仕方がないので、越境物がある事を織り込み済みで購入をしてくれる人を探します。(売却)又は、越境されている部分を分筆して少し土地を小さくして売却する他ないと思います。(分筆)。以下が考えられる手段です。

売却

越境物の存在を織り込み済みで土地を購入してくれる購入者を探すことが考えられます。不動産市場には、隣地の問題を承知の上で土地を購入することを了承する購入者が存在する可能性があります。

こうした購入者との交渉を行う際には、越境物の存在や土地の実際の状況を十分に説明し、トラブルを未然に防ぐための契約書を作成することが重要です。

分筆

隣地から越境されている部分を分筆して、少し小さな土地として切り離して売却することも考えられます。分筆する際には、地籍調査や測量を行い、正確な境界線を確定させることが必要です。

また、分筆には地方自治体の許可が必要な場合がありますので、専門家の助言を受けながら手続きを進めることが重要です。分筆した越境されている土地を捨てる覚悟になりますが…。

拡張

隣接する土地を取得し、土地の境界線を調整する方法です。通常、隣地の所有者から土地を買い取ることが一般的です。土地の拡張によって、境界線の問題を解決することができます。

変更

土地の利用形態を変更することで問題の解決を図る方法です。地方自治体の承認を得て、土地の利用目的を変更することが可能です。地目の変更によって、土地の利用形態を変更し、問題の解決に向けた新たな可能性を生み出すことができます。

費用は誰が出す?越境物撤去の法的措置と解決法

越境物の撤去に関する費用負担は、通常、以下のように解決されます。

所有者の責任が認定される場合:

越境物の所有者が法的に責任を負うことが認定される場合、撤去費用は通常、その所有者が負担します。所有者は自らの責任で越境物を撤去するか、他の解決策を採ることが期待されます。

解決法:

  1. 通知と合意の取得:所有者に対して、越境物の撤去を求める通知を送ります。その後、所有者と合意を形成し、費用の負担について合意します。
  2. 法的手続きの開始:所有者との合意が得られない場合、法的手続きを開始します。裁判所に訴えを起こし、所有者に費用負担を命じるよう求めることができます。

所有者が費用負担する場合でも、まずは合意を求めることが重要です。通常、所有者との合意が得られれば、法的手続きを回避することができます。しかし、合意が得られない場合は、法的手続きを通じて費用負担を決定することが必要になります。

隣地問題に関するQ&A

Q: 隣地からの越境物が発見された場合、どのように対処すればよいですか?

A: 越境物が発見された場合は、まずは隣の所有者と直接対話し、問題の解決を試みることが重要です。もし合意が得られない場合は、地元の法律や規制を確認し、必要な場合は専門家に相談して適切な解決策を見つけましょう。

Q: 隣地との境界線に関する争いが発生した場合、どのように対処すればよいですか?

A: 境界線に関する争いが発生した場合は、まずは地図や登記簿などの公的な資料を確認し、境界線の位置を正確に把握します。その後、隣の所有者との合意を求め、もし解決策が見つからない場合は、地元の法的手続きや仲裁を利用することが考えられます。

Q: 隣地とのトラブルが解決しない場合、どのような法的手続きがありますか?

A: 隣地とのトラブルが解決しない場合は、裁判所に訴えを起こすことが考えられます。境界線や越境物の問題など、具体的な問題に応じて適切な法的手続きを選択し、専門家の助言を得ながら進めることが重要です。

Q: 隣地との紛争を避けるためには、どのような対策が効果的ですか?

A: 隣地との紛争を避けるためには、まずはコミュニケーションを大切にしましょう。隣の所有者との良好な関係を築くことが、問題の予防につながります。また、境界線や建物の位置などの確認を定期的に行い、問題が発生しそうな兆候を早めに察知することも大切です。

Q: 隣地問題に関する契約書や覚書の重要性は何ですか?

A: 隣地問題に関する契約書や覚書は、当事者間の合意や約束を文書化するために重要です。境界線の位置や越境物の撤去に関する取り決めなど、重要な内容を明確に記載することで、将来的な紛争を予防することができます。

越境と越境物の違い

「越境」は、所有者の土地の境界線を越えて隣の土地に物が侵入している状態を指します。例えば、隣地の樹木の枝が自分の土地に入り込んできたり、隣地からの騒音や光害が自分の居住環境に影響を与える状況がこれに当たります。

一方、「越境物」は、その侵入してきた物自体を指します。つまり、越境は状況を指し、越境物はその物を指します。先ほどの例で言えば、隣地の樹木の枝が自分の土地に入り込んできた場合、その枝自体が越境物となります。同様に、隣地からの騒音や光害も、それ自体が越境物となります。

このように、「越境」は状況や状態を指し、「越境物」はその状況や状態によって侵入してきた物を指します。

 

トラブル解決の3つの方法

まず第一に、直接的な対話と協力が重要です。隣接者とのコミュニケーションを図り、問題を解決するための合意を形成することが不可欠です。話し合いの場を持ち、相手の立場や要望を理解し、共通の解決策を見つける努力が必要です。この方法は、問題を早期に解決し、隣接者間の信頼関係を築く上で有効です。

次に、法的な手続きを活用する方法があります。土地の所有権や境界の確定に関する法律や規定を適用し、問題を法的に解決することが可能です。専門家の助言を仰ぎながら、適切な手続きを進めることが重要です。法的手続きによって、争いを解決し、トラブルの再発を防ぐことができます。

最後に、仲裁や調停などの第三者の介入を活用する方法があります。独立した第三者が問題を公平に判断し、両者の合意に基づいて解決策を提案することで、トラブルを円満に解決することができます。仲裁や調停は、対立が激化している場合や話し合いが難しい場合に有効な手段です。

隣地からの越境物の放置は問題を悪化させるだけでなく、法的トラブルや隣接者間の不和を引き起こす可能性があります。早急な対応と適切な解決策を見つけるために、上記の方法を活用することが重要です。

越境物や境界の問題を未然に防ぐには?

隣接地からの越境物や境界の問題は、不動産取引や隣接者間のトラブルを引き起こす可能性があります。こうした問題を解決し、未然に防ぐためには、以下の解決策と防犯対策が重要です。

まず、越境物や境界の問題が発生した場合、直ちに隣接者とのコミュニケーションを図ることが大切です。問題を認識し、相手と協力して解決策を見つけることが、後々のトラブルを避けるために不可欠です。話し合いの場を持ち、互いの立場や要望を明確にすることが重要です。

また、法的な規定や契約書に基づいて解決を試みることも重要です。土地の所有権や境界の確定に関する法的な手続きを行うことで、問題の根本的な解決につながる場合があります。専門家の助言を仰ぎながら、適切な手続きを進めることが必要です。

さらに、防犯対策も重要です。越境物がある場合、不法侵入や盗難などのリスクが高まる可能性があります。防犯カメラの設置や周辺の照明の強化など、セキュリティ対策を強化することで、安全面のリスクを軽減することができます。

隣接地からの越境物や境界の問題は、早期に対処することが重要です。適切な解決策を見つけ、トラブルを未然に防ぐために、問題を放置せずに積極的に対応することが必要です。

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覚 書

○○○○ (以下, 甲という。)および〇〇〇〇 (以下、乙という。)は, 末尾表示の甲および乙所有土地の境界線上に存する越境物の取扱いに関し,次のとおり覚書を締結した。

 

第1条 甲および乙は、乙所有土地 ( 1番1) 内に, 甲所有土地 (1番2) 上に存するブロック塀のレンガ積の一部が越境していることを確認した(別添図面の既設金属鋲○○番と既設コンクリート杭○○番を結ぶ直線より乙所有土地側で, 朱線表示箇所)。

2 甲が将来,前項のブロック塀の新設または改修、もしくはこれに替わる構築物を新設する際には,当該越境部分を甲の責任において撤去するものとする。

 

第2条 甲および乙は、甲所有土地 (107)内に,乙所有土地(1番 1)上に存するガス管の一部が越境していることを確認した(別添図面の既設コンクリート杭○○番と既設金属標○○番を結ぶ直線より甲所有土地側で,青色表示箇所)。

2 甲が将来,前項のブロック塀の新設または改修, もしくはこれに替わる構築物を新設する際には,当該越境部分を乙の責任において乙所有地内に移設するものとする。

第3条 甲または乙は,将来, 末尾表示の甲または乙所有土地の所有権を移転する場合、新所有者に本覚書の内容を承継させるものとする。

本覚書の成立を証するため,本書2通を作成し、甲乙各1通を保管する。

◯◯◯◯年◯月◯日

       甲  住所

          氏名             印       

       乙  住所

          氏名             印

(土地の表示)

甲所有の土地  ○○市○○区○○町 1番1

乙所有の土地  ○○市○○区○○町 1番2

主) 本覚書に添付されている図面は掲載を省略します。

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