購入後に発覚した越境物とその解決までの流れ

購入後に発覚した越境物とその解決までの流れ

不動産の取引において、見落としがちなトラブルの一つが「越境」です。契約時には見落とされ、購入後に初めて気づくことも少なくありません。塀や屋根、排水管など、わずか数センチの越境でも、隣地との関係性を大きく揺るがしかねません。

では、もし購入後に越境が発覚した場合、どう対応すればよいのでしょうか。この記事では、実際の事例をもとに、相談先や解決までの流れ、事前の予防策について詳しくご紹介します。

事例紹介|塀が数センチ越境していたケース

発覚の経緯

購入した土地に建っていた古家を解体し、新築住宅を建てるために測量を依頼したところ、隣地の塀がこちらの敷地に「約7センチ」越境していたことが判明しました。売買契約時には境界杭の確認がされておらず、越境についての説明もなかったため、買主は初めてその事実を知ることになりました。

売主の反応と隣地との対応

売主に確認を取ったところ、「昔からそうなっていた」「前の所有者から引き継いだもの」と説明されました。隣地の所有者に説明してもらったところ、「まったく気づかなかった」「壊すつもりはなかった」という反応でした。

最終的には、覚書(越境に関する合意書)を交わし、以下のような内容で和解しました。

  • □既存の塀については現状のまま使用を認める
  • □将来的に塀を撤去・建替えする際は越境を解消する
  • □塀による損害が生じた場合は各自の責任で対応

話し合いが円満に進んだのは、第三者(司法書士)を間に入れたことが大きな要因でした。

どこに相談すればいいのか?

弁護士・司法書士・測量士の役割分担

越境問題が発覚した際には、専門家の力を借りることが不可欠です。以下のように役割が分かれています。

  • 弁護士:越境に関する法的な交渉や裁判対応を担当
  • 司法書士:隣地との合意文書作成や登記手続きのサポート
  • 土地家屋調査士(測量士):現地測量・境界確定図の作成・越境の有無を客観的に証明

トラブルの深刻度や当事者間の関係性によって、誰に先に相談すべきかは異なります。早い段階で中立の専門家に相談することが、事態の悪化を防ぐ鍵です。

解決までにかかる時間と費用

今回のような「軽微な越境」の場合、話し合いでの解決に要した期間は約1ヶ月、費用は測量と文書作成費用を合わせて約15万円でした。

しかし、以下のような場合はさらに時間・費用がかかります。

  • □塀や建物の解体・再建が必要なケース
  • □隣地所有者が協力的でない場合
  • □法的措置が避けられない場合

弁護士を通した場合、30〜50万円以上の費用がかかることもあるため、できるだけ早期に話し合いで解決を目指すのが理想です。

購入時に確認しておくべきだったポイント

このトラブルは、契約前に以下の点を確認していれば未然に防げた可能性があります。

  • □境界杭の有無と位置確認
  • □現況測量図の提示依頼
  • □隣地との越境確認書の取得
  • □売買契約書に越境に関する条項を明記

購入時は建物や間取り、価格に目が行きがちですが、土地そのものの法的な状態も重要です。

今後同じ失敗をしないために|事前のチェック体制を整える

今後同様のトラブルを避けるには、以下のような「越境チェック体制」を構築しておくことが推奨されます。

  • □仲介業者に「越境確認」のチェックシートを用意してもらう
  • □必要であれば土地家屋調査士の現地立ち会いを依頼
  • □境界トラブル経験者の声を共有しておく(体験談をまとめておく)

不動産の購入は人生でも大きな買い物です。慎重すぎるほど慎重に確認し、安心して住める土地を選びましょう。

「最も高くつく過ちは、最初の確認を怠ったことだ」──不動産業界の格言より

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