
線下補償料の基本と実務の全体像
はじめに
線下補償が付いている土地を売買・相続する際には、通常の取引とは異なる注意点があります。
補償金が継続して支払われる権利や、土地利用に関する制限がどのように引き継がれるのかを理解しておかないと、後々トラブルに発展することもあります。
この記事では、売買・相続のそれぞれの場面で意識すべき契約上・実務上のポイントを整理してお伝えします。
売買時の注意点
- 補償契約があるかどうかを必ず確認(契約書・支払履歴)
- 補償金が今後も継続されるかどうかは、契約条件と名義変更の手続きに依存
- 登記簿に地役権が設定されている場合、恒久的な制限が存在する
- 建物が建てられない土地は、評価額が大きく下がるリスクがある
売主・買主間で起こりやすいトラブル
- 「補償金を継続してもらえると思っていた」→ 実際は前所有者のまま入金される
- 補償の存在を事前に説明していなかったことで、損害賠償請求されることもある
- 重要事項説明書や売買契約書への記載漏れが原因で、後からの法的紛争に発展
相続時の注意点
- 補償契約は原則として相続対象になるが、事業者への名義変更手続きが必要
- 未対応だと、補償金が旧名義人の口座に振り込まれ続けることも
- 相続人間での権利配分をめぐって紛争が起こるリスクもある
- 相続税評価額に補償権利をどう反映させるかは不動産鑑定士の判断を仰ぐべき
補償付き土地の評価・価格への影響
- 土地評価額は通常より低くなる傾向がある(用途制限による)
- 一方で、補償金収入が定期的にあることを魅力と捉える投資家も存在
- 実勢価格は「用途制限」と「補償額のバランス」で決まる
契約書の確認ポイント
- 補償対象の面積、補償金額、支払方法の明記
- 補償金の受取人名義と名義変更条項
- 売却・相続時に通知義務があるか
- 契約が地役権設定の場合、登記がなされているかの確認も必須
売買・相続に備えてできる対策
- 契約書と補償明細を整理・保管する
- 売買時は重要事項説明書に補償の有無を記載
- 名義変更手続きは早めに対応する
- 不動産業者・司法書士・税理士との連携で抜け漏れを防ぐ
線下補償料の基本と実務の全体像