
線下補償料の基本と実務の全体像
はじめに
補償金を受け取ったあと、「これって税金がかかるの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、線下補償料は金額の大小を問わず、多くの場合で課税対象となります。
申告方法や所得の分類を誤ると、思わぬ追徴課税やペナルティのリスクも。
この記事では、線下補償料の税務上の取り扱いと確定申告の実務を整理して解説します。
線下補償料は課税対象?
- 基本的に課税対象です。
- 税法上の「非課税所得」ではありません。
- 所得区分によって課税方法や税率が異なります。
所得区分の判定
雑所得
- もっとも一般的なケース
- 継続性がなく、地役権設定もない補償金
- 「総収入 − 必要経費」で課税所得を計算
- 他の所得(給与など)と合算して課税
譲渡所得
- 地役権設定契約などで「財産権の一部を譲渡」したとみなされる場合
- 補償金が一時金で支払われるケースに多い
- 取得費や譲渡費用の控除可。ただし3,000万円特別控除などは適用されない
不動産所得
- 電柱の設置料など、継続的に使用料を得る場合
- 土地の一部を貸しているとみなされる
- 事業規模であれば青色申告が可能
ケース別の課税例
- 送電線下の年額補償 → 雑所得(覚書ベース、非登記)
- 地役権設定で一括補償 → 譲渡所得(登記あり)
- 電柱設置で年額収入 → 不動産所得(事業性の有無で申告形態が変わる)
確定申告の実務手順
- 契約書・補償金振込明細・測量図・登記事項証明書などの証拠書類を準備
- 補償金額と支払い形態を確認
- 適切な所得区分を選択し、申告書に記載
- 経費があれば、測量費・登記費用・弁護士費用などを計上
節税のポイント
- 測量・登記・専門家費用は必要経費にできる可能性がある
- 事業的規模があるなら青色申告を検討
- 過去分の支払いで未申告がある場合は自主的な修正申告も有効
注意点とトラブル事例
- 非課税と誤解して申告漏れ → 数年後に追徴課税
- 地役権が未設定なのに譲渡所得として申告 → 否認のリスクあり
- 補償金を相続時に受け取った場合の課税判断に迷う → 専門家に確認を
線下補償料の基本と実務の全体像