

■ 契約トラブルはなぜ起きる?土地売却の落とし穴
土地売却は人生で何度も経験することではなく、特に相続で土地を取得した60代の方にとって初めての大きな契約になるケースが多いものです。そのため、契約内容の理解不足や確認不足から、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう方も少なくありません。トラブルは「そんな話聞いていない」「思っていた条件と違う」という売主・買主の認識のズレから生まれることが大半です。
土地売却の契約は、金額の大きさだけでなく法的責任や引渡し条件、契約解除のルールまで幅広く取り決める必要があります。しかし、売却金額やスピードばかりに目が向いてしまい、細かな契約内容を確認しないまま署名・押印してしまうことで、後悔する結果となるのです。
このページでは、大阪市で土地売却を検討する方が安心して契約を進めるために、よくある契約トラブルの事例とその防止策をわかりやすくまとめています。公式資料や専門家の相談を活用し、正しい知識で後悔のない取引を実現しましょう。
■ よくある契約トラブル事例
土地売却時に多いトラブルとして、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)、手付金や契約解除をめぐる誤解、引渡し時期や条件の不一致が挙げられます。これらはどれも「契約書をしっかり読んでおけば防げた」というケースがほとんどです。
次のセクションでは、それぞれの具体的な事例を見ていきましょう。
■ 契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)に関するトラブル
契約不適合責任とは、売却した土地に隠れた欠陥や説明漏れがあった場合、売主が責任を負わなければならない制度です。かつては「瑕疵担保責任」と呼ばれていました。大阪市での土地売却でも、この責任に関わるトラブルは少なくありません。たとえば、売却後に買主が「地中に古い井戸があった」「越境物があった」と主張し、補修費用や損害賠償を求めてくるケースがあります。
多くの場合、売主自身がそうした欠陥や状況に気づいていなかったり、「契約時に伝えたつもりだった」という認識違いが原因です。防止策として、売主が知り得た事実はすべて契約書や物件状況報告書に正確に記載することが重要です。不明な点は簡易調査や測量、法務局での資料確認を行い、事実として確認した上で説明するようにしましょう。
■ 手付金・解約にまつわる誤解とトラブル
土地売却契約において、手付金は重要な意味を持ちます。しかし、この手付金の性質を正しく理解していないことでトラブルになることがあります。たとえば「手付金を受け取った後に売主都合で契約を解除したい」という場合、手付金の倍返し(手付倍返し)が必要になることを知らなかったためにトラブルになることがあります。また、買主が手付金を放棄して解除できる権利もあるため、解除の可否や金銭の授受に関する認識違いがトラブルの火種となります。
手付金や解約条件については契約書で明確に定められます。内容をしっかり読み込み、理解した上で署名・押印することが必要です。不安な場合は、不動産会社の担当者だけでなく、弁護士や司法書士といった専門家の助言を受けることが望ましいです。
■ 引渡し時期や条件の認識違いによるトラブル
土地売却の契約書には、引渡し日やその条件が記載されていますが、この内容をよく確認しないまま契約を進め、トラブルになることがあります。たとえば「売主は現況のまま引渡すつもりだったが、買主は整地して引渡すと認識していた」といった事例です。結果として追加費用や工事をめぐるトラブルに発展することもあります。
引渡し条件は、契約書の文言だけでなく、事前の打ち合わせ内容やメールのやり取りなど記録を残し、後で「言った・言わない」の問題にならないようにすることが肝心です。
■ 防止策|契約前に必ず確認すべきポイント
土地売却の契約トラブルを防ぐ最大のポイントは、契約書の内容をしっかりと確認し、不明点を放置しないことです。金額や引渡し日だけでなく、引渡しの状態、契約不適合責任の範囲、手付金と解約の条件なども細かくチェックしましょう。「細かすぎる」と思うような部分も、後々大きなトラブルの原因となることがあります。
また、物件状況報告書や付帯設備表などの書類も重要です。特に契約不適合責任に関連する部分は、売主が知っていること、確認したことを正確に書き、必要があれば写真や簡易調査の結果を添付することも検討しましょう。大阪市内では、古い井戸や埋設物、境界標の不明確さなどがトラブルの種になることが少なくありません。
契約書の読み合わせをする際には、不動産会社の担当者だけに頼らず、第三者である司法書士や弁護士に事前確認を依頼することも有効です。
■ 防止策|信頼できる不動産会社と専門家の選び方
土地売却は「どの会社に任せるか」で結果が大きく変わります。契約書の説明を丁寧に行ってくれる会社、契約不適合責任や引渡し条件について率直にリスクを説明してくれる会社は信頼度が高いと言えます。逆に、契約書の詳細を「あとで読めば良い」「問題があればそのとき考えれば良い」と軽く流す会社には注意が必要です。
専門家選びも同様です。税理士、司法書士、弁護士といった第三者に一度相談することで、自分では気づけなかったリスクや注意点を把握できます。特に契約不適合責任や境界トラブルの可能性がある場合は、契約前に公的資料や測量士の意見を得るなど、多面的な確認をおすすめします。
■ 公的資料と専門家相談を活用した安心売却のすすめ
トラブル防止の基本は、公式情報に基づく確認と専門家の助言です。土地の境界確認、法務局の登記事項証明書、国土交通省の地価公示、国税庁の路線価図など、公的資料は必ず確認しましょう。また、売却の条件や責任範囲については、税務署や弁護士、司法書士に相談し、自己判断だけで進めないことが安心売却への近道です。