線下補償料がもらえない土地の特徴は?

線下補償料がもらえない土地の特徴は?

はじめに:電線があるのに補償されないのはなぜ?

土地の上空に電線が通っている。それだけで「線下補償料がもらえる」と思っていませんか?
実際には、補償対象となる条件は限定されており、電線があるからといって必ずしも補償金を受け取れるとは限りません。

この記事では、「なぜ補償が受けられないのか」「どんな土地が対象外になるのか」を具体的に解説します。申請の無駄を防ぎ、スムーズな交渉を進めるためにも、事前に知っておくべき内容をまとめました。

線下補償料の基本的な支給条件

線下補償料とは、電線が土地の上空を通過していることに対して、所有者が受け取れる使用料のようなものです。
この補償が発生するためには、以下のような条件を満たしている必要があります:

・電線が土地の上空を明確に占有している
・土地に所有権がある(登記されている)
・補償に対する事前同意がない
・既存の契約や権利設定が補償を妨げていない

これらの条件が満たされない場合、「補償対象外」と判断されることがあります。

補償対象外となる主なケース

線下補償料が支払われない主な理由には、以下のような土地の状況が関係しています。

・所有権がない土地(借地・使用貸借など)

借地や使用貸借で利用しているだけの土地は、補償の対象にはなりません。補償料は「所有者」へ支払われるものであり、名義が異なる場合は請求が通らないことがほとんどです。

・建物のない更地・空き地・農地

土地の利用実態が乏しく、被害性が小さいと判断されると補償が却下されることがあります。特に農地や空き地などは、「使用制限が現実に発生していない」と見なされる場合があります。

・すでに無償使用の合意がされている土地

過去に「無償で使用してよい」と同意していた場合、補償を請求する権利がなくなっている可能性があります。書面がなくても、黙示の合意と判断されることもあるため注意が必要です。

・既存の地役権が設定されているケース

すでに電力会社などに対して地役権が設定されている場合、補償料は支払済と見なされます。地役権の存在は登記簿で確認できます。

特殊な事例:補償対象と思われがちだがもらえない土地

一見すると補償対象のように思えても、実際には対象外と判断される特殊な例もあります。

・市街化調整区域内の私道

建物建築が制限されている市街化調整区域内の私道などでは、「利用制限による損害が小さい」として、補償対象外とされる可能性があります。

・登記ミス・名義不明の土地

登記簿が古く、所有者がすでに亡くなっている・名義が不明確といった場合、補償交渉が進まないことがあります。このような場合は、相続登記などの対応が必要です。

もらえない理由をどう確認するか?

補償の対象外とされる理由を事前に把握しておくことが大切です。確認のポイントは以下の通りです。

・契約書・登記簿のチェック方法

地役権が設定されていないか、過去に補償金が支払われていないかなどは、法務局の登記簿で確認可能です。補償に関する契約書の写しなども手元にあれば確認しましょう。

・電力会社などへの照会手順

最寄りの電力会社や通信会社に対して、補償の有無を照会することができます。文書での回答をもらうようにすれば、記録としても残ります。

もらえない場合の対応策はあるのか?

仮に補償の対象外とされたとしても、ケースによっては交渉余地があります。

・地役権設定の再交渉

過去に補償なしで電線が設置された場合でも、地役権が未設定であれば、あらためて設定交渉を持ちかけることができます。

・新たな請求交渉が通る余地

周辺の土地で補償が出ている例があれば、根拠として示すことで交渉材料になります。土地の現況(使用制限の実態)を丁寧に整理することが大切です。

まとめ:線下補償料の「対象外」を正しく見極めるために

線下補償料が「もらえない」ケースには明確な理由があります。誤解のまま申請しても時間と手間がかかるだけなので、以下の点を押さえて判断することが重要です。

・登記簿や契約の確認を行う
・補償が不要とされる前提条件を把握する
・必要に応じて専門家へ相談する

「補償されない」とされても、それが正当かどうかを見極める知識を持つことで、無用な損失を避けられます。納得いかない場合は、証拠資料をもとに粘り強く交渉することも視野に入れてください。

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