
越境物トラブル解決|分筆の流れと費用完全ガイド
撤去交渉がまとまらないとき、越境部分だけを切り離す「分筆」は現実解になり得ます。初心者でも流れが分かるように、手順・費用・注意点をシンプルにまとめました。
分筆とは?
分筆は、1つの土地を複数に分けて別々の地番で登記する手続きです。越境物(塀・樹木・建物の一部など)が撤去できない、または合意形成に時間がかかる場合に、越境部分のみを切り離して扱えるようにするための選択肢です。
分筆が有効なケース
- 隣地からの塀や建物が越境しており、撤去合意がとれない
- 越境状態のまま売却したいが、買主に分かりやすく整理して引き渡したい
- 隣地所有者が越境部分の買取意向を示している
分筆の流れ(手続きステップ)
- 現地確認と測量
土地家屋調査士に依頼し、境界を確定。越境位置と面積を明確化します。 - 分筆登記の準備
測量図の作成、必要書類の収集。自治体への事前相談が必要な場合は対応します。 - 分筆登記の申請
法務局に申請し、新たな地番が付与されます。 - 越境部分の取り扱い決定
隣地へ売却、残地と併せて売却、または自社保有のいずれかを選択します。
覚書で合意形成を先に進めたい場合は、親記事内の雛形をご利用ください。
費用と期間の目安
案件の複雑さや地域差で変動しますが、一般的なレンジは次の通りです。
項目 | 費用目安 | 期間目安 |
---|---|---|
測量(境界確定・図面作成) | 20〜40万円(面積・隣接筆数により増減) | 約1〜2か月 |
分筆登記(登録免許税・手数料) | 1〜5万円程度 | 約1〜2週間 |
越境部分の売買契約 | 仲介手数料等が発生する場合あり | 条件次第(数週間〜) |
※上記はあくまで一般的な目安です。都市部・高低差・筆界未確定などの事情により増減します。
分筆のメリット・デメリット
メリット
- 越境部分を切り離すため、売買・相続での説明が明確になりトラブルを回避しやすい
- 「越境状態を残したままの引渡し」を避けやすく、買主の安心感につながる
デメリット
- 測量・登記に費用と時間がかかる(工程上の待ちも発生)
- 土地が小さくなるため、残地の評価や活用に影響が出る場合がある
- 関係者(隣接地所有者・共有者等)との調整が必要で、合意形成が前提になる
分筆後に注意したいポイント
- 新しい境界標(杭・プレート)の位置が動かないよう定期的に確認する
- 売買契約書には「分筆により越境を解消した」旨と新地番を明記する
- 固定資産税評価・地積の変更が与える影響(税額・融資等)を事前に確認する
まとめ
分筆はコストも時間もかかりますが、越境トラブルを物理的に解消できる確実な方法です。まずは土地家屋調査士に相談して測量から進め、必要に応じて覚書や売買の選択肢を検討しましょう。