

「重要事項説明」で売主が一番つまずくのは、内容より“タイミング”です
不動産を売る流れの中で、「重要事項説明(じゅうようじこうせつめい)」は避けて通れません。聞き慣れない言葉ですが、ざっくり言うと「この物件には、買う前に知っておくべき条件や注意点がありますよ」という説明です。
大阪市内の売却でも、ここでの確認が甘いと、契約直前に揉めたり、引渡し後に「聞いてない」でトラブルになったりします。逆に言えば、売主側が押さえるポイントは限られていて、準備さえできていれば怖くありません。
重要事項説明とは何か(売主目線で噛み砕く)
重要事項説明は、買主が契約する前に、宅地建物取引士(宅建士)が書面を使って説明する手続きです。説明に使う書面は「重要事項説明書」と呼ばれます。
ここで扱うのは、物件そのものだけでなく、権利関係、法律上の制限、インフラ、マンションなら管理状況など、買主の判断に影響する情報です。売主が全部作るわけではなく、基本は仲介会社が調査して作成します。ただし、売主しか分からない情報(雨漏り歴、設備不具合、近隣トラブルなど)は、売主が正直に伝える必要があります。
売却の全体像の中で、重要事項説明はどこにある?
- 査定(相場と売り方を決める)
- 媒介(仲介会社と契約する)
- 販売(広告・内覧)
- 申込(買付・条件調整)
- 契約(ここで重要事項説明→売買契約)
- 引渡し(残代金決済・鍵渡し)
つまり、重要事項説明は「申込が入って、契約する直前」に行われます。ここで新しい問題が出ると、契約が延びるか、条件が変わるか、最悪白紙になります。だから“契約直前に慌てないための前倒し準備”が肝です。
重要事項説明書に書かれる主な内容(大阪市でよく出るところ)
1)権利関係・登記
- 所有者は誰か(共有か単独か)
- 抵当権など担保が付いているか(住宅ローンが残っている等)
- 敷地や私道の持分がどうなっているか
2)法令上の制限(用途地域など)
- 用途地域、建ぺい率・容積率
- 防火地域・準防火地域(大阪市内は該当が多いです)
- 前面道路の種類、接道状況、セットバックの有無
土地・戸建てはこの項目の影響が大きく、買主の「建て替え」「増改築」の可否に直結します。説明が曖昧だと価格交渉の火種になります。
3)インフラ・設備
- 上下水道、ガス、電気の種類
- 排水の接続状況
- 境界(特に土地)
4)マンション特有(ここが一番ボリューム出ます)
- 管理費・修繕積立金、滞納の有無
- 管理形態(全部委託/一部委託/自主管理)
- 管理規約、使用細則(ペット、楽器、民泊、駐輪など)
- 修繕履歴・長期修繕計画、今後の大規模修繕予定
- 専有部分と共用部分の範囲(バルコニー、専用庭、配管など)
売主が用意すべきもの(ここを押さえると一気に楽になります)
- 登記識別情報(いわゆる権利証)
- 固定資産税・都市計画税の納税通知書
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書(あれば)
- マンションなら管理規約一式、総会資料、管理費等の明細
- 付帯設備表・物件状況報告書(仲介会社が雛形を用意することが多い)
特に「物件状況報告書」は、売主が知っている事実を整理して渡すためのものです。ここで隠したり、記憶が曖昧なまま「問題なし」にしてしまうのが、後々一番こじれます。
よくある失敗:価格よりも“告知のズレ”で揉める
- 雨漏り・漏水歴を「昔のことだから」と伝えない
- 設備が不調なのに「使えるから大丈夫」と曖昧にする
- 境界が未確定なのに「たぶんこの辺」と思い込む
- マンションのルール(ペット等)を勘違いしたまま進める
高く売りたい気持ちが強いほど、ネガティブ情報を出したくなくなります。ただ、重要事項説明で出る情報は、調査で分かるものも多いです。最後に発覚すると、買主の不信感が一気に上がり、価格交渉より痛い結果になりがちです。
費用の一般論(重要事項説明そのものに費用はかかる?)
重要事項説明「自体」に売主が直接支払う費用は通常ありません。ですが、売却全体では次の費用が絡みます。
- 仲介手数料(成約時に発生)
- 抵当権抹消などの登記費用(司法書士報酬含む)
- 測量費(必要な土地の場合)
- 譲渡所得税(利益が出た場合に課税の可能性)
税金や特例(3,000万円控除など)は条件で変わります。最終判断は税理士や税務署、自治体の案内で確認してください。
結局、売主がやるべきことは1つだけ
重要事項説明で慌てないために、売主が今やるべき行動はシンプルです。
- 「分かっている不具合・気になる点」を箇条書きでメモし、仲介会社に先に渡す
雨漏り、設備の不調、近隣とのやり取り、過去の修繕、境界の不安など、“言いづらいこと”ほど先に出した方が、条件調整の余地が残ります。契約直前に出ると、交渉の主導権を失いやすいです。
大阪市での売却は、エリアによって道路や法令制限、マンション管理のクセも出ます。重要事項説明は「専門家が作るから大丈夫」ではなく、「売主しか出せない情報を、いつ出すか」が勝負どころです。