正直不動産の内容がむずかしくて楽しめない。
「実際にそんな事あるの?」などの疑問に現役の不動産屋がお答えします。
今回は、1巻P73に出てきます。
笹原夫妻のマンションの売却の囲い込みについてご説明いたします。
正直不動産の大まかなストーリーの流れ
マンションの売却をご希望されている笹原夫妻の売却相談にて、不動産業者が売却依頼を受ける際の仕組みを分かりやすく説明したストーリーになります。
ライバルの桐山貴久(市原隼人)に担当の座を奪われ、さらに桐山が囲い込みと言う手法でお客様の利益を無視したやり方でマンションを売却する一連のストーリーです。
本編のストーりーは、不動産を売却を希望する方は、絶対に知っておいた方が良いお話です。
知らないと桐山の様な不動産屋さんに騙されてしまいます。
媒介(ばいかい)契約とは?
媒介契約とは、不動産業者が物件の売買や賃借などの依頼を請け負った際に、物件所有者と不動産会社の間で結ばれる依頼契約の事です。
依頼を受けた不動産業者は、下記の4つの業務をしないといけません。
- 契約の相手の探索及びその報告
- 重要事項説明書作成及び説明(買主の場合)
- 契約書の作成
- 引き渡しまでの業務の補助
そして本編でも触れていましたが、媒介契約には3つの種類が御座います。
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
- 一般媒介契約
上記の3つの形態のいずれかの媒介契約によってお客様を募っていきます。
では、それぞれどのような特性があるのかをかみ砕いてご説明いしたします。
専属専任媒介契約
この専属専任媒介契約とは、
依頼者(売主又は貸主)が1社の不動産会社にしか依頼できないうえに、依頼した不動産会社が紹介する買主(又は、借主)以外とは契約できない契約の事です。
また、依頼者本人が買主(又は、借主)を探して来た場合も同じです。
不動産会社からすると、自分の会社以外の他の不動産会社に契約を取られる心配がないので安心して仕事が出来ます。
ちなみに専属専任媒介契約の契約の有効期限は3ケ月以内が上限で、それ以上の契約はできません。継続したい場合は、新たに契約の必要があります。
不動産会社が依頼者への進捗状況の報告は7日以内に1回以上が義務となっています。
専任媒介契約
この専属媒介契約とは、
依頼者(売主又は貸主)が1社の不動産会社にしか依頼できない契約になりますが、依頼者本人が買主(又は、借主)を探して来て契約をすることは可能です。
不動産会社からすると、依頼者本人が直接買主(又は、借主)を探して来て契約をすることは稀で、自分の会社以外の他の不動産会社には契約を取られる心配がないので、こちらも安心して仕事が出来ます。
ちなみに専任媒介契約の契約の有効期限も3ケ月以内が上限で、それ以上の契約はできません。継続したい場合は、新たに契約の必要があります。
不動産会社が依頼者への進捗状況の報告は14日以内に1回以上が義務となっています。
一般媒介契約
この契約は、依頼者(売主又は貸主)が複数の不動産会社に重複して依頼できる契約になります。
また、依頼者本人が買主(又は、借主)を探して来て契約をすることも可能です。
不動産会社からすると、自分の会社以外の他の不動産会社には契約を取られる心配が大いにあり、あまりうま味の薄い契約形態です。
ちなみに一般媒介契約の契約の有効期限は特にありませんが、行政により3ケ月以内が望ましいとにされていることから3ケ月以内に設定してい会社が多いです。
不動産会社が依頼者への進捗状況の報告義務はありません。
永瀬は一般媒介契約をすすめていましたが、桐山は専属専任媒介契約をすすめていました。
一体どんな裏が隠されていたのか?どちらを選ぶのが正解だったのかをご説明いたします。
桐山(市原隼人)が説明した専属専任媒介契約
多少の時間がかかってもなるべく好条件(高値)で売るのなら、
一般媒介契約ではなく、専任媒介契約か専属専任媒介契約の方が有利だと桐山貴久(市原隼人)は笹原夫妻に断言しております。
説明として、お客様が一般媒介契約を選んでしまうと、他の不動産会社にも依頼することが可能になります。
一般媒介契約で複数社に依頼してた場合、結果的に利益を得る不動産会社は契約した1社だけなのです。
その他の不動産会社は、ただ働きになるので、そんな1社総どりのゲームに本気で参加する会社はあまりいない。
つまり不動産会社にとって一般媒介契約は、専任契約や専属専任契約と比べると優先順位の低い案件になると桐山(市原隼人)は専属専任媒介契約の利点をこのように説明していました。
実は、実務上では一般媒介契約でも専任媒介契約でも専属専任契約でも全く同じ様に頑張ります。
そして、一般媒介契約の方が早く買い手が見つかる率も高いですし、高額で売却されます。
桐山(市原隼人さん)は、他の不動産会社に邪魔されたくないという理由と、囲い込みを使って仲介手数料を多く取りたかったのでこの様な提案をしています。
なぜ、実務上では、一般媒介契約でも専任媒介契約でも専属専任契約でも全く同じ様に頑張るのか?
また、なぜ、一般媒介契約の方が買い手が早く見つかる率も高いのか? 高額で販売されるのか?
その根拠をご説明いたします。
どの一般媒介契約でも同じ様に頑張る理由
不動産を八百屋に例えてみましょう。
10種類の果物が売ってい店と、5個の果物しか売っていない店なら、アナタはどちらの店に行きますか?
普通、品ぞろえが多い10種類の果物がある八百屋さんに行きますよね?
それと同じで、不動産屋も1件でも多く物件(果物)を扱っていた方が良いのです。
なので、不動産屋としては仲介の種類に関わらず1件でも多く媒介契約をして、物件の広告を出しておきたいので結局、頑張るのは同じ事なのです。
一般媒介契約の方が早く売れる理由とは?
実は、専任媒介契約や専属専任契約の場合は囲い込みと言って、他の不動産業者に契約させない様にしてしまう違法行為が横行しているのです。
これは、仲介手数料の仕組みに原因があるのです。
なぜかと言いますと、不動産業界には、両手と片手と言われる言葉があり、両手の場合は、下のイラストの様に売主買主双方から仲介手数料を頂く事が可能になるのです。
ですが、他の不動産会社に買主を見つけられてしまうと、下のイラストの様に売主様の片手分しか仲介手数料が頂けません。 すなわち、利益が2分の1しか儲からないのです。
ですので、他の不動産会社に購入希望者(買主)が現れても、契約できないように売主様に内緒で断りを入れ、自社で買主様を見つけるまで契約をしない様にします。
囲い込みは、1社でしか販売されないので売却スピードが落ちます。
売主としては、なかなか売却が成立しないので、不動産会社から値下げを提案されれば応じる事になります。
家主様としては、高価格で売却されるチャンスを潰され、通常より安く売却され、なおかつ時間もかかるのが囲い込みです。
この手法は、現在でもとても多くの不動産会社がいたしております。
ですので、絶対に専任媒介契約や専属専任契約での媒介契約は避け一般媒介契約にしておくことをおすすめいたします。
仲介手数料とは、販売価格×3%+6万円+消費税になるはずなら、販売価格が減ると損するはずと思う方もおられる思います。
そんな方の為に、2000万円の物件を片手契約をした場合と、200万円の値下げをした1800万円で両手契約をした場合の不動産屋の利益の比較してみましょう。
不動産屋の利益の比較
- 物件価格が2000万円の片手の仲介手数料
- (2000万円×3%+6万円+消費税)×1(片手:売主のみ)=726,000円(不動産屋の利益)
- 物件価格が1800万円の両手の仲介手数料
- (1800万円×3%+6万円+消費税)×2(両手:売主と買主)=1,320,000円(不動産屋の利益)
おわかり頂けたかと思います。
不動産会社は、片手でも両手でもまったく同じ仕事量なので、両手の方がいいに決まっています。
売主様は200万円損するのに不動産会社は2倍近く利益があるのです。
これが囲い込みが無くならない最大の要因です。
ぜひ、これから物件を売却しようと考えている読者様がおられましたら、媒介契約は、何を言われようと一般媒介契約の一択で決定です。
※本ブログは、あくまで個人的な意見及び感想です。