
越境物撤去の費用と責任分担|誰が払う?費用目安と解決法
隣地からの塀や樹木、屋根などが自分の土地に越境している場合、撤去費用は誰が負担するのでしょうか。本記事では、責任の考え方、費用の相場、解決までの流れをわかりやすく解説します。
費用負担の基本ルール
民法では、越境物の所有者が撤去費用を負担するのが原則です。つまり、隣地の樹木や塀が越境している場合は、隣地所有者が自ら費用を負担して撤去・剪定する義務があります。
ただし、次のようなケースでは例外や折半となる場合もあります。
- 双方が合意して残す場合(覚書で費用負担割合を定める)
- 古くから存在し双方が放置してきた場合(時効取得の議論が発生)
- 撤去による影響が大きく、代替策(剪定・一部補修)で合意した場合
撤去費用の目安
越境物の種類 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
樹木の枝 | 数千〜数万円 | 本数・高さにより大きく変動 |
ブロック塀・フェンス | 5万〜20万円 | 延長・解体難易度による |
建物基礎・物置 | 20万〜100万円以上 | 基礎撤去・復旧費用が高額 |
※上記はあくまで概算。見積もりは複数業者から取り、作業内容(撤去後の復旧含む)を明確にしましょう。
解決のステップ
- 現地確認と記録
写真や動画で越境状況を記録し、日時を残します。 - 所有者への通知
口頭または書面で越境を伝え、撤去や剪定を依頼。 - 費用負担の合意
覚書で費用負担や作業時期を明確化します。 - 業者選定と作業
双方立会いのもと安全に撤去。 - 完了確認と記録保管
撤去後の状態を写真に残し、覚書と一緒に保管。
覚書で費用負担を明確にする
口約束だけでは後々のトラブルになりかねません。覚書を作成し、次の内容を明記するのが安全です。
- 撤去・剪定を行う物の特定(位置・本数・長さ)
- 費用の負担者と割合(全額、折半、別案など)
- 作業時期と再発時の対応方法
- 立会い・記録の方法
費用負担で揉めたときの選択肢
- 第三者を交えて調停を申し立てる(家庭裁判所)
- 裁判で撤去請求を行い、費用負担を明確化する
- 費用を自分で立て替え、後日求償する(少額訴訟も可能)
いずれの場合も、写真・測量図・通知書など証拠を揃えておくとスムーズです。
まとめ
越境物の撤去費用は原則として所有者負担ですが、合意形成やトラブル防止のためには覚書を作成するのがベストです。費用の相場や負担割合を事前に把握し、円滑な解決を目指しましょう。